2017/08/02

『顔の美醜について―ドキュメンタリー』TVシリーズ化のアナウンス

 先日拾ったニュースです。『メッセージ』の脚色をしたエリック・ハイセラーさんがまたテッド・チャン作品を脚色、作品は『顔の美醜について――ドキュメンタリー』。しかもテレビシリーズで、AMCというネットワークで放映されるらしいです。まだ「脚色しています」という段階なので、だいぶ先かもしれませんが……。

当のハイセラーさんのツイートと一緒に、記事二つにリンクを貼っておきます。



 

TOR.com: Arrival Screenwriter Eric Heisserer Adapting Another Ted Chiang Novella

 

TB: “ARRIVAL” TEAM REUNITES TO DEVELOP NEW SCI-FI SERIES FOR AMC

 

しかしこれまた意外なチョイスですねえ……ちょっと驚きました。そういえば、以前『理解』も映画化という情報がありましたが、どうなったんだろう? でもチャンさん自身へのインタビューでは待機中の脚色企画は複数あるというお話だったので、いくつか進行中なのかもですね。

一番映像に向いてると思った『地獄とは神の不在なり』は宗教的な切り口がネックで見送られたとのことだったのですが、『メッセージ』の成功でまた状況が変わってくるかも?(願っているわけではないんですが、一番「絵」として印象的なものになりやすいと感じた作品だったので)でも考えてみると、宗教的側面に加えて主人公がある種の身体障がい者、ということも難しいかもしれないですね。演じる俳優さんのチョイスとか……(まあ、今の技術ならどうとでもなりそうですが……)

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前回ご紹介したインタビューのうち、一番興味深かったものを個人ブログのほうでこそっと訳してみました。短めですが「こんなのがパンフに載っていてほしかったな~」という感じの充実した内容なので、よかったらご覧くださいませ。

牛乃の日記(仮): 『メッセージ』: 原作者テッド・チャンが語る小説から映画へのプロセス(リンクと拙訳)

 

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今月のコミティア(コミケは落ちたので(^^;))に向けて、『メッセージ』を柱にした洋画レビュー冊子を準備中なのですが、思いつくことや調べたいことがどんどん拡大していくタイプの映画なので、まとまりがつけられなくて苦労しています。楽しいんですけどキリがなくて(笑)。でも「映画として」という鑑賞が充分にできてない気もします。原作への思い入れがかえって邪魔になることもあるんだなーと……。なるべく予備知識や先入観なしに見るのが自分としては理想の鑑賞なので、ないものねだりですがいっぺん記憶を消して見てみたいです。(笑)

2017/06/19

『メッセージ』関連インタビュー等

 遅ればせながら、5月にようやく日本公開になった"Arrival"――邦題『メッセージ』。公開翌週に見てまいりました。もう、こんなに素晴らしい脚色とは予想もできませんでした。映画好きとしても原作ファンとしても嬉しいです。

で、公開までは脚色のネタバレを避けて映画関連の情報漁りは控えていたんですが、ようやく自分に解禁。思ったよりチャンさん自身へのインタビューは少ない印象で、音声ソースは聴き取れないところもあるのですが、とりあえず見つけたものにリンクを貼っておきます。

CBC Radio: Sci-fi writer Ted Chiang on his story's 'unconventional' adaptation into the film Arrival
ラジオ番組のようで、最近のものは音源をダウンロードできるみたいなんですが……遅すぎたのかこの回はダウンロードページに見当たりませんでした。しくしく。他のインタビューで言及された話が多いようですが、充実した内容という印象です。

NPR: 'Arrival' Author's Approach To Science Fiction? Slow, Steady And Successful
こちらも音声ですが、トランスクリプトとそれを整理した記事あり。音声もmp3でダウンロードできます。がっつりインタビューというより、短い音声ソースを編集した感じです。中に出てくるグレイディ・ヘンドリックスさん(脚本家さんのようです)のチャンさんについての評がわが意を得たり!です!

SYFYWire: Author Ted Chiang reveals how Arrival went from page to screen
こちらはテキストの記事で、比較的短いですが、脚色のプロセスについて、面白いと思うSF番組について、なども話しておられます。興味深い内容なのでまたこそっと訳したいんですが、映画公開時期と仕事の忙しくなった時期が重なってしまいまして。できたら下記のブログかなんかに載せますね。最近モバイルで読む方も多いようなので、PC用サイトだと読みにくいかもしれないので……(自分は未だにスマホを使ってないアナログ人間でして、表示が確認できないのです(^^;))
【※blogger転載時追記:元はPC用サイトの1コーナーだったので、こんなことを書いています】

【2017/8/2追記】拙訳ブログに掲載しました。よかったらどうぞです。
牛乃の日記(仮): 『メッセージ』: 原作者テッド・チャンが語る小説から映画へのプロセス(リンクと拙訳)

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個人ブログに映画の感想も載せております。主に小説からの変更・脚色部分についての「褒めちぎり」です。(笑)
例によって長いですが、よかったら合わせてご覧ください。

牛乃の日記(仮):
見事な昇華/『メッセージ』感想(その1)

「武器」/『メッセージ』感想(その2)

もう一度見たいと思いつつ、なかなか時間がとれないままそろそろ上映終わりそう……そう何回も続けて見たいとは思わないんですが(これはチャンさんの小説も同じなんです。なぜか)できればもう一度くらいは再見したいです。初見はどうしても原作との比較に気がいってしまったので、もっと「映画として」とらえ直せればと……。

2016/12/04

動画2本:"Arrival"サンディエゴプレミアQ&A /ワークショップ(新作朗読付き!) (2016/12/4)

 コミケ準備で油断しているすきにすごい動画が!正直リスニングはまだまだ苦手なので、一度聴いただけではわからないところが多いのですが、とりあえずわかった範囲の内容から一部を記録いたします。(聞き違ってたらごめんなさい(^^;))

まずはサンディエゴで行われた"Arrival"(邦題『メッセージ』)プレミア後の原作者Q&A。動画で見られるとは。チャンさんが見るのはこの時三回目、とのこと。

裏話もいろいろあって…まず、ご本人は映画向きの話とはまったく思っていなかったので、許可を求められたときは驚いたこと(これてインタビューでも語ってましたね)、そして脚本はいい反応を得たものの、何人かのプロデューサーから「主人公が男性なら」という要求もあったこと。そのへんは脚本・製作を担当したエリック・ハイセラー氏がこだわりをもって原作の設定を守ってくれたようです。
最終的にインディペンデント系のFilmnationが出資したのでパラマウントは配給のみであること、エイミー・アダムス(たぶん監督が第一候補にした、とのこと)が主演を決めてからパラマウントが配給を決めたこと(わかる気がする(^^;))、などなど。

映画にするにあたって変更がたくさんあるのは理解できたし、脚本の草稿を読んだら物語の本質的な感情の核はちゃんと保たれていて、それこそが望んでいたことだったこと、映画には大いに満足していること……などなど。お話聞いてると、一介の映画ファンの目線でも、一般的には無名の短編小説の映画化としては、かなり幸運な扱いではないかと感じます。製作者がよほど原作に惚れ込んでるのではないかしら。原作ファンとしては「だから最初から映画化なんて無理だと思ってたんだよー」なんてしたり顔の文句タラタラをせずにすみそうで嬉しいです。(笑)

…そうそう、二、三年のうちに次の短編集が出る、というお話も出てました。楽しみ❤



それと、ついでにYouTubeで久しぶりにお名前で検索して、すごいものを見つけました!8月に行われたワークショップで、"Story of Your Life and Others"(短編集『あなたの人生の物語』)の再版祝いとQ&A、その前にななんと新作の冒頭朗読しておられます!チャン氏の美声ファンとしては二重の意味でお宝動画!!(^^)/

後半では映画のタイトルが"Arrival"になったこと等、映画化にまつわる質問(ファンとしての心配?)も。それに対しては、小説の映画化で原作への忠実度がとやかく言われるようになったのは比較的最近で、『ジョーズ』や『ゴッドファーザー』でそんなことは言われてないよね?と言及。本に忠実にすることにこだわって、かえって映画として出来が悪くなることもあると。だから映画は映画で独立したエンターテインメントだと考えるようにしてみて、と答えています。大いに共感!(そのあと「そうしようと僕は努力してるから」と言い添えて笑いをとってますー(笑))

その他執筆プロセス等のお話はインタビューで何度か言及していることですね。あー、とかYou know、とかすごく多く挟んでて、いつも以上の訥弁になってる箇所も多々あるんですが…正確に答えようとしてるんでしょうね。(ルーパーのポッドキャストのときはリラックスした「おしゃべり」だったのでまた違いましたね)でも和やかでカジュアルな雰囲気で、笑いも随所に出ていました。それにしても未発表の新作、前述の短編集に入るんでしょうか。わくわく♪



映画はほんとに評判が良くて、ツイッターの公式アカさんをフォローしているので、俳優さんのプロモーション写真やなんかはけっこう見かけました。つい昨日はCritic's Choice Award (放送映画批評家協会賞、でしょうか?)で作品賞、脚色賞、監督賞、主演女優賞などなど主要10部門ノミネートとのニュースが流れてきました…原作賞ってのはないのね(笑)。でもこれマジですごくないですかっ!

でも日本公開は来年だし、ちょうどこの週末は東京コミコンでジェレミー・レナーが来日してたんですけど、アベンジャーズが眼目みたい?(仕方ないけど)…ともあれ、見るのが楽しみであります。ああ、早く見たい❤

 

2016/10/22

"Arrival"(邦題『メッセージ』)公式サイトとインタビュー、イベント記録リンク

 だいぶ遅れてしまいましたが、『あなたの人生の物語』映画化作品の公式サイトと、自分が見た中では最新のインタビューのリンクです。邦題は『メッセージ』になりました。映画はアメリカでは11/11公開、日本では来年5月公開予定とのこと。


Arrival official website

『メッセージ』公式サイト


YouTubeにあがっている日本版字幕付きトレイラー。
なんか現実と思えないですね。(笑)



インタビュー
The Immense, the Mysterious, and “Impossible Observations”: An Interview With Ted Chiang

インタビューは特に映画に焦点をあてたものではなく、『七十二文字』など、現代の基準では「科学的」ではない説をベースにする時の考え方や、作品作りのヒントになった(テーマでなく構造レベルで)というお芝居やテレビシリーズなど、名前がいくつか上がっているのが興味深かったです。


つい一昨日、地元シアトルの書店でのトークイベントにお出ましだったようです。(こちらは今ツイッターで見つけて、写真をツイートしてくださってるので貼らせていただきます。m(_ _)m)インディーズブックのお店らしいです。作品のメジャー映画化に影響されていないご活動ぶりがかっこいいなー、なんて思います☆

Third Place Boooks: Everfair by Nisi Shawl in conversation with Ted Chiang

 

 

 


最近はちょっと忙しくなってしまい、こちらへのアップが後手後手なので、映画公開で情報が増えたらもう追いつけなくなりそう(^^;)。情報乏しかった時期を思うとウソみたいです。ご本人が関連したものはなるべく記録したいですが、まあできる範囲で……。 それにしても映画楽しみです。原作の良いところをうまく継承して、何より映画として見ごたえのある作品になっていてくれたら、原作ファンとしても映画好きとしても嬉しいです。