スペイン、バルセロナのフェスにゲストとして参加なさった際の記事を見つけました。昨年11/10掲載のものです。残念ながらスペイン語はわからないので、ブラウザの自動翻訳に頼りました。以下に引用する訳文も自動翻訳のものなので、限界はあると思います。ご了承くださいませ。
▶Ted Chiang: “Elon Musk y Donald Trump son peligrosos”
(テッド・チャン:「イーロン・マスクとドナルド・トランプは危険だ」)
https://www.zendalibros.com/ted-chiang-elon-musk-y-donald-trump-son-peligrosos/
資本主義の暴走への警鐘はAI周辺の話題の中でよく拝見していましたが、より「現実」に踏み込んだ発言を読んでみたかったので、これは読めて嬉しかったです。
冒頭の紹介文はこちら。
今年の第42回ファンタスティック・ナラティブ・フェスティバルのゲストスターである中国生まれの米国人作家テッド・チャンは、バルセロナでSFを通じて「資本主義と戦う」という声を表明し、「AIは、言われているほど私たちを心配させるべきではない」と主張した。
…「資本主義と戦う」が印象的で、そこまで直接的な表現をしたんだろうか……と驚きました。「中国生まれ」も正しくないので(ご両親がアメリカに移住したあとのお生まれで「中国系アメリカ人」のはず)自動翻訳でニュアンスがズレちゃったのかしら……と思ったんですが、いったん英語に自動翻訳してみたところ"has expressed his voice in Barcelona through science fiction to "fight capitalism" 。うーん、そう逸脱してはいない?(お生まれに関しては、今Wikiを確認したら、「台湾系」になっていました。以前はよくおおざっぱに中国系と紹介されていたと思うのですが。うーん、世界情勢の反映でしょうかねぇ……)
原文自体が誇張している可能性もありますが、逆に場所がスペインで、英語圏でないからこそ出てきた発言、ということもあるかも。(日々の海外ニュースでスペインの話題も見かけますが、思想的・政治的な立場をはっきり表明するのが当たり前の社会のように見えます。あ、別にスペインに限らないか……自分がノホホンとし過ぎなんですね。(^^;))
過去の作品からは「資本主義と戦ってる」雰囲気は感じませんが(繰り返しになりますが、自分にとってのチャン氏の作品の魅力は審美的な側面が圧倒的)、これからの作品でどう昇華されるのかな、と楽しみです。決して短絡的な意見小説などお書きにはならないでしょうから。
ご本人の発言として紹介されていた中で、特に響いたのがここ。
「資本主義の終焉よりも世界の終焉を想像する方が簡単だが、君主制神授説の終焉を想像するのもまた難しかった。王の終焉を想像できた者は誰もいなかった」
確かにそうですね。現状への文句どまりではなく、より大きな視野で話してくださるのが嬉しい。自力ではなかなか手に入らない視野です。
学者さんが過去・現状を精査するのに対し、作家さん——特にある種のSF作家さんは、「未来を外挿する」視点を強く持つことが特徴だと思います。それも「現在の延長」に縛られない想像力を伴って。
作家さんの政治的な発言についてはさまざまな見方があると思いますが、個人的にはこの方の考え方・切り口に共感することが多いので、すごく興味があり、今後も読んでみたいです。
▶フェス自体の紹介記事を見ると、ワークショップや展示のほか、鳥山明さんの追悼式や『マトリックス』の25周年記念行事なんかもあって多岐にわたっていたようです!見てみたかったなー☆
Zendaというサイトそのものの玄関を見てみたら、すごく面白そうで、どういうサイトなのか興味が湧きました。説明はこちら。
▶Bienvenidos a Zenda(ゼンダへようこそ)
https://www.zendalibros.com/bienvenidos-a-zenda/
ちょっと長いけど冒頭を引用します。
このアイデアは、数人の作家仲間との会話の中で生まれました。文化や書籍が困難な時期を迎えている今、まるで公共の場のように、それぞれが自分の本、自分のコメント、あるいは貢献できることを持ち寄って集まれる、自由で独立した空間を作ったらどうでしょうか。そこに、興味深い書籍のレビュー、楽しい読書、オピニオンコラム、ブログ、推薦文、ニュース、インタビューなどを組み合わせたもの。良いとか悪いとか、レッテルやイデオロギーにとらわれず、本や文学についてしか質問されない、一種の共通の基盤や広場、外人部隊のようなものを作れないでしょうか。そこから読者をスペインやアメリカの主要新聞の書籍雑誌や文化特集へと導くことさえできるような場所。読者、ジャーナリスト、編集者、作家、文芸エージェント、新人作家、書店員、そしてラテンアメリカ文学の世界に関心を持つ誰もが、心地よく感じ、互いにつながることができる場所。
ステキなコンセプトですね。日本でもそういうのがあったらいいのに……。一時期は期待していたnoteが、利用してみたら予想外にビジネス臭というか誘導が強くてゲンナリしていたところなので、自由を尊ぶ知的な雰囲気がうらやましくなりました。(たとえばnoteでは、AIについては批判的な見方が存在しない前提のようで、「どう使うか」というお題で書くことをしきりに勧められます。スポンサーのお達し、というレベルで運営されてるのかしらん。なんとなく思想統制めいた気持ち悪さを感じるのは私だけでしょうか……☆(-_-;))
…隣の芝生かもしれませんが、このZendaさん、ときどき覗けるようにブックマークをしておきました。自動翻訳でもある程度読めますので。(^^) (ときどきキテレツな訳が出てきますが、それは逆に「ここは間違ってるな」とわかります。そこは想像力で補って……(笑))
ちなみにサイト名は『ゼンダ城の虜』からとっているそうです。読んだことがなくて、反射的に思い出すのは野田秀樹さんのお芝居でこのタイトルを「いただいてる」のがあったっけ……ということくらい。機会があったらネタ元を読んでみなくちゃです☆
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Xをほぼ使わなくなって、チャンさんの情報も自分の時間がある時に検索する形になりました。テキスト検索だとご本人以外の、レビューやブログなどのページが圧倒的に多く出てくるので(自分のブログ記事が出てきて拍子抜けしたこともありました(^^;))、最近編み出した裏技(?)が画像検索で探すことです。書影や見覚えのある写真でなければ、自分が未読のご本人関連の記事に添付されている確率が高い。最近はYouTubeもよく見るので、そこでチャンさんの動画を何度か見たら勧めてくれるようになり、こちらは素直にありがたいなーと思います。ま、料理レシピやら剪定指導やらの動画を続けて観てしまうと、またオススメも変わってしまうんですけど……。(笑)