2025/08/08

インタビュー音声(自動翻訳字幕利用可):サンノゼ州立大学 In the Reeds (Podcast)

少し前にYouTubeで見つけて、「後で見る」に入れていたインタビューです。今年の四月のものなので、比較的最近ですね。YouTubeも自動翻訳字幕の精度が上がってきたので、聞き取り難民の私でも聞く/読むことができてありがたいです。(単純にチャン氏の声は好きなので楽しいですし(笑))

聴けたのはまだ半分ほどですが、創作プロセスについてや、SFとファンタジーの違いなど話しておられます。以前からよく話してらっしゃるテーマなので、復習という感じ。でも新鮮なところもありました。特に創作をなさる方には刺激になる内容だと思います。


#16 Ted Chiang Interview April 2025



執筆プロセスについては、以前から「何度も繰り返し頭に浮かぶアイデア」があるとそれを吟味して、「結末を決めてから書き始める」とはおっしゃっていますが……いくつか考えたシナリオから選ぶプロセスでは、ストーリーに登場するものは書かず、自分の考えを大量にメモする、というのが新情報で、なるほどと思いました。

そしてどのシナリオが「自分が同意できる立場」にたどり着くか、という表現もちょっと響きました。自分はそういうもの(自分が同意できる立場)は無意識のうちににじみ出るものだろう、くらいにしか考えていなかったので。そもそもストーリーで哲学的な疑問を解明しようなんて考えてないよーん、とか言いたくなりますが、これって落ち着いて考えると自分の根っこにある価値観、とも言える気がする。「哲学的」という訳語に惑わされてはいけないかもです。

個人的には、チャン氏の物語から哲学的というより審美的な側面を強く感じるし、それに魅力を感じてもいるのですが……氏の言う「哲学的な疑問/問題」(philosophical question)は、「自分の中から出てきたもの」を書く時には誰にとっても不可欠な基盤である気がします。意識するかしないかに関わらず。(ただ、意識しないと出てこないものは絶対ある気がします)


…改めて、比べても仕方ないけれど自分なんぞとは違うなあ……☆とタメイキが出ます。自分は結末を決める前から思いつきの「シーン」をバラバラに書き散らしがちで、ストーリーラインが分岐した草稿が大量にできてしまいます。そして収拾がつかなくなり……今やってるものはその段階で数年止まっています。(最近は時間がとれなくなったのもありますが(^^;))なんかこういうプロセスって、脳みそのとっちらかり具合がそのまま反映してしまうようで……整然としたお脳みそがとてもとても羨ましいです。(それでもチャン氏は「書くことは自分にとって難しい」と折々おっしゃっているので、きっとその過程で七転八倒なさっているに違いないのですが)

ともあれ、暑さで頭がぼーっとしている中、お話をボンヤリと聞いているうちに、刺激を受けてシャキッとすることができました。(じつは昼の猛暑を避けて早朝に24時間営業のスーパーへ買い出しに行き、それでも熱中症がぶり返してゲンナリしていたところでした(^^;))おかげで久しぶりにこのブログも更新することができました。

チャンさんの発信するものは、急流に流されてあっぷあっぷしている時に、すがれる岩というか……そんな感じがしています。(なぜか小説でないもののほうが特に) 

サンノゼさん(すみません、略し過ぎ(笑))には、無料で公開していただいて感謝です。残りも少しずつ見ていこうと思います。