開催後のまとめ記事
https://news.asu.edu/20240216-arts-humanities-and-education-leading-science-fiction-writer-ted-chiang-explores
ライティングがいかに優れた「テクノロジー」であるかを指摘なさっています。(ブラウザの自動翻訳ではwritingが「書き言葉」となるのですが、「書くという行為」全体を指しているように見えるので「ライティング」としておきます)言われてみると確かに、ということばかり。
※コグニティブ・テクノロジー”cognitive technology”…「認知的技術」とか直訳しても意味がなさそうなので、ちょっと調べてみました。一般的にはコンピューティングの用語らしく、人間の認知を模倣するシステムである点はAIと同じような……でも、AIのように勝手な最適解(お門違いなこともある!)をひねり出すのではなく、あくまで人間の意思決定を支援するもの——を指すようです。
あまりに身近すぎて、ライティングを代替可能な(?)技術として捉えるのは自分にとっては難しいです。それでも個人的な実感として、「書き出すことで思考が前進する」のは意識しています。頭の中だけだとぐるぐるしてしまうので、書き出したもの(一言でもいい)を自分で読んで、そこから刺激を受けて書き継ぐことを繰り返します。(さらにあとで編集します) たぶんこの「目と脳へのフィードバック」を含めた螺旋状のプロセス全体を「ライティング」とおっしゃっているんじゃないかな、と解釈しました。ただ、「口述筆記」ができる人は、自分とはまた感覚が違うかもしれないなー、とも思います。(自分には絶対無理。チャーチルはすごい!(笑)草稿からまとめた人が優れていたのかもしれませんが……)
他に印象的なところをメモします。(ほぼすべてで長くなるので拙訳のみで失礼)
(意識を持つマシンについて)
「自分たちが作った意識を持つマシンに対して、どんな種類の敬意を払うべきでしょうか?」
(AIについて)
「現在のところ、私たちの目の前にあるものは、強化された自動補完(オートコンプリート)にすぎません」「テキストの統計的特性を明らかにするという面では、確かに興味深いものです。しかし敬意を払うほどの価値はありません。違うことを主張する者は、あなたに何かを売りつけようとしているのです」
「多くの人が、テクノロジーは人間性を奪い取るものだと感じています。裏付けとなる状況は充分にあり、確かにそうだと感じさせられます」
「しかし、もしも人間性を奪うのでなく、かえって人間性を与えてくれるテクノロジーがあるとしたらどうでしょう。それこそがライティングです。ライティングは、私たちが創造的になることを助け、理性的になることを助けます。これらは人の活動の中でもっとも人間らしいものです」
他にも、リズムや韻律が(大昔の口承文学の伝統がなくなり)ポップミュージックの専売特許になって、まじめな場面では使われなくなったことなど、興味深いご指摘でした。ときどきこの方の発信を読むのは脳トレになりますね。(^^)
事前告知ページ
Exhalation and Other Worlds with Ted Chiang - Humanities Institute Distinguished Lecture (2024年2月15日)
https://asuevents.asu.edu/event/exhalation-and-other-worlds-ted-chiang-humanities-institute-distinguished-lecture?id=0インタビューリンク
Transcript: Ezra Klein Interviews Ted Chiang
https://www.nytimes.com/2021/03/30/podcasts/ezra-klein-podcast-ted-chiang-transcript.html
『メッセージ』上映イベント
ARRIVAL with author Ted Chiang(2024年2月16日金曜日)
https://asuevents.asu.edu/event/arrival-author-ted-chiang?eventDate=2024-02-16&id=0