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2021/01/22

朗読音源とアーサー・C・クラーク賞受賞時の動画

 スミソニアン国立航空宇宙博物館のポッドキャストで、テッド・チャンさんご本人が"THe Great Silence"の朗読をなさっている音源を見つけました。 音声ファイルのダウンロードもできます!(涙もの!)

AirSpace Presents Voyages to Mars: Searching

続けざまに五回ほど聴いてしまいました。声が好きなので自作朗読はずっと聴いてみたかったんです。有料でいいから聴きたい! いっそ売って!とか思っていたら、あっさりこんな形で……申し訳ないくらいです。今年は幸先が良いぞっ❤

ええと、番組コンセプトがよくわかってなかったんですが、昨年打ち上げられた火星探査ローバーPerseveranceにからめたポッドキャストのようで、テーマに沿った文芸作品を音楽付きで配信する企画のようです。

ローバーの火星生命探査に絡めて、電波望遠鏡による太陽系外の生命探査も行われていることが言及され、"The Great Scilence"に出てきたアレシボ天文台が12/1に崩落したことに触れ…(知りませんでした…) 「“The Great Silence” のなかで、作者のテッド・チャンはこの望遠鏡を取り上げ、その周囲に生息する動物の重要性を考察している」と紹介されています。

アレシボの事故をググってみたら、こんな記事と動画がありました。

【動画】アレシボ天文台、受信プラットフォーム崩落の映像。再建求める動きも

この天文台の周囲の森にいるアカビタイボウシインコが語る物語。短いけど泣ける珠玉の一作です。英語テキストを読みながら聴けば素晴らしい学習教材にもなりますね。贅沢すぎます。ありがとう。(^^)

 

もう一つは、前の記事に掲載した動画をYouTubeで見た時、ついでに検索して見つけたもの。 昨年10月にアーサー・C・クラーク賞の"Imagination in Service to Society Award"を受賞した際の動画だそうです。「サイエンス・フィクションは未来が現在と同じである必要はないと思い出させてくれる」とか、資本主義や不平等をクリティカルに考える機会をサイエンス・フィクションが作れるとしたら、どんな形でだと思うか、など、興味深くて注意深く読みたい問題提起、やりとりがあります。自動翻訳字幕がちょっとアレなのですが、参考にしつつゆっくり聴いてみようと思います。




韓国でのリモートインタビューなど (2021/1/22)

 私事に追われてなかなか記録出来なかったのですが、昨年10月に、韓国ソウルで行われたWowbook Festivalというブックイベントでのテッド・チャンさんのリモートインタビュー情報をいただきました。(K様、ありがとうございました)

自分がリンクを開いたときにはすでに公開時間が終わっていたのですが、今日改めて見てみたら見られました。でも限定公開となっているのでリンクは控えておきます。代わりに限定公開ではない、配信元さんが12/29付けで公開している編集版動画を見つけたので、そちらを貼ることにしました。その他公式サイトや関連ブログ、Twitterでのご感想リンクなど、たくさんの情報をいただきましたので、合わせて記録させていただきますね。

公式サイト http://wowbookfest.com/board_ZrGa84/12864

下はインタビュー編集版で、動画自体に韓国語字幕がついています。テーマは主に『あなたの人生の物語』について。Youtubeの字幕も韓国語固定なので、日本語への自動翻訳を設定して見たら、精度はいまいちですがおおまかなところはわかりました。(思えばすぐお隣の国の言葉がわからないなんて切ないなあ…)


※blogger転載時追記:
もとはここに動画を埋め込んでいましたが、
非公開動画になったようです。(残念!(^^;))


ただ、英語部分も韓国語として認識した自動翻訳になるので…英語も聴き取り難民なのでところどころだけ、メモをとりました。以前他のインタビュー等で答えていたこととも重なりますが、以下のような感じです。(間違っていたらスミマセン。あとにご感想ツイートのリンクもあるので、参考にしてください)

大きな質問は3つでした。

・Q1. メインキャラクターを言語学者と物理学者したことについて

ウンベルト・エーコの『完全言語の探求』という本に触れていて、あとにリンクを貼っているご感想ツイートに詳しいです。
言語学者と物理学者が結ばれるという話だけれど、キャラ同士が相手に説明することで、読者にも言語学的側面と物理学的側面を説明できる、という実際的な利点もあった、とのこと。

・Q2. 映画のへプタポッド文字はああいうデザインでしたが、考えていたものとの違いは?

書いているときには具体的に文字の形をイメージしていたわけではなく、映画の文字デザインにも関わっていない。円形にするアイデアは、脚色したエリック・ハイセラーさんがピッチをしに来た時にすでに持っていたようです。彼は脚本自体を円環構造にしている(カードを並べた?みたいに聞こえたのですが…)。漢字からの発想ではない。漢字は話し言葉を文字にしているので(そうかしら?)。むしろアメリカの手話(sign languageですが、「手話」でよいかどうか確認中です)からインスピレーションを得た…という感じ。インタビュアーさんはタイポグラフィーの研究をしていらっしゃるようで、興味が沸いたとおっしゃっています。

Q3. ・物語の構造について。ルイーズがへプタポッドの文字と時間感覚を身につけて行く過程(仮にストーリーa)と、娘の人生を含むルイーズの実際の生活(ストーリーb)の織り込み方は、どういう風に考えたのか?

最初はルイーズの実人生のほうを逆向きに遡る形にし、シンメトリー構造にしようと思ったがうまくいかなかった。やっていくうちに円環構造のほうが感情的にうまく着地すると判断した、というようなお話…だったと思います。

・今後の予定について

申し訳ないけれど、書いている作品について話すのは好きじゃないので言えません、とのこと。いつも通りですね。(笑)

もちろんもっといろいろ話していたんですが、力が及ばずゴメンナサイ。でもリモートでのやりとりは一般的なものになりましたし、こういうイベントでの露出は増えるかもですね。嬉しいことです。

 

参加者さんのTwitterでのご感想

編集前の動画では英語に訳すプロセスも挟まったため、チャンさん自身が話し始めるまでにかなり時間がかかったりしていました。そのせいか、情報提供者様によると参加者さんにはあまり好評ではなかったようです。(最後の猫の話を除いて、とのこと。猫は元気ですが、と聞かれて空気が和んでました。これも下のツイートにあります) でもインタビュアーを務めたJiwon Yuさん(韓国で著名な方だそうです)はチャンさんの大ファンだそうで、チャンさんもそれを承知しているらしいとのこと。その点では雰囲気の良いインタビューになっていたんではないでしょうか。

 

https://twitter.com/nextblank/status/1314932548263264256

https://twitter.com/nause_a/status/1314935155740483584

https://twitter.com/Lady_merida/status/1314915248877391874

https://twitter.com/_equibrium/status/1314948137702760448

 

インタビュアーを務めたJiwon Yuさんのブログ
https://blog.naver.com/pamina7776/222023632691

内容は『商人と錬金術師の門』をテーマにしたアート作品の紹介で、ブッククラブのメンバーさんと共に制作されたようです。作品の時間の関係をアートで表現しています。きれいな写真がたくさん見られます。

最後の写真もとても貴重でした。ブッククラブのメンバーさんがチャン氏にサインをもらった際、SF作家になりたいと伝えたら書いてくださった言葉だそうです。

"MY ADVICE TO YOU IS THIS: GIVE VOICE TO YOUR ASTONISHMENT."
(アドバイスはこうです。:あなたの"ASTONISHMENT"に声を与えて)

ASTONISHMENTは辞書では「驚き」なんですが、良い意味でのショックというか、新鮮な驚き、もっと広げると、よく言われる「センス・オブ・ワンダー」かな?(私はあんまりよくわかってないですが(笑)) その驚きやそれをもたらしたものを、言葉を使って頭から外に出す、表現する……という感じでしょうか。 覚えておきたい言葉です。