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2018/09/22

新刊予約開始と文学イベントふたつ (2018/9/22)

 来年5月・新刊短編集発売予定

テッド・チャンさんの新刊短編集が来年5月に発売されるとのこと。先月あたりからAmazon等で予約受付を見かけるようになりました。去年か一昨年あたりのワークショップで言及されていた短編集、たぶんこれですね。

Exhalation: Stories



新作は2本含まれているようです。表題作になっている"Exhalation"は個人的にも大好きな一本で、以前SF大会で生け花展示のテーマにさせていただいた思い出深い一作でもあります。装丁も素敵ですね。楽しみです❤


文学イベントふたつ

こちらは終了したイベントですが、8月末から9月の始めにかけて開催された Melbourne Writers Festival WORD Christchurch、という2つの文学イベントに参加なさったようです。それぞれオーストラリアとニュージーランドのイベントです。例によって事前にチケット情報など流れていましたが、行けるものでもないので(^^;)事後情報など出るのを手ぐすね引いて待っておりました。記事へのリンクやイベントでの発言・写真のツイートなど拾えたものを記録として貼らせていただきます。シェアしてくださった皆様に陰ながら感謝を。いやー、ネットありがたいです❤

↑「世界があなたを気にかけないからといって、
あなたが世界を気にかけるべきではない
 というわけじゃない」
――テッド・チャン メルボルン・ライターズ・フェスティバルにて

↑文脈によりけりなのでガタガタした直訳ですみません。 推測でもう少し意訳すると、
「あなたが今どういう状況にいるとしても、 世界への関心を失うべきじゃない」
的なニュアンスでしょうか。 どういう流れで出てきた発言なんでしょうね。


 

↑サイエンス・フィクションは、あなたに現状を深く考察させるものであるべきだ。
――テッド・チャン WORDクライストチャーチにて

 

↑クライストチャーチでのインタビューイベントのレビュー。
レビュアーさんにはあまり楽しくなかったみたいですね。残念でした。
でも「話し方がアカデミック」な訥弁なのは、自分にはかえって好印象です。(笑)
チャンさんの発言部分をはしょると、(以前にも話しておられたことですが)
――たいていの人のSFに対する認識はハリウッド映画のもので、善玉と悪玉が戦って
(悪玉によって乱された)元の状態を取り戻すというものだけど、
SFは元に戻すのでなく何かが変わって後戻りしない別の世界になるもの。
だから『マトリックス』(一作目)は好き――とのこと。

 

 

↑ニュージーランドの作家whiti hereakaさん、Michael Bennettさんを交えた、
タイムトラベルをテーマにしたディスカッションのリポート。
以前ウェブで行われたタイム・トラベル・レクチャー
(紹介過去記事はこちら)でも 言っておられたんですが、
『クリスマスキャロル』や予言の物語は一種のタイムトラベルで、
運命は変えられない→変えられる、と(人々の考え方を反映して)変わってきた……
という興味深いお話。そしてオーディエンスからの 質問に答えて、こんな発言が。

「趣向としてのタイムトラベルは、ストーリーの見地から見れば
『どんな容器に入れようとその容器を溶かしてしまう万能の酸』。
時間をさかのぼってやり直すことで、主人公の問題はあっというまに解決できてしまう。
そのために、タイムトラベルの物語は通常「ルール」か制約を適用して、
簡単な解決が起こらないようにしている。
そしてこれらの制約は、厳密な吟味には耐えないこともあり得る――
ストーリーを語るために、少しの間不信感をとめることを目指しているだけだから」

加えて、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を
「スイスの時計みたいな(精密な)プロット」で好きな映画として挙げておられます。
こういう親しみやすい映画の名前を挙げてくださると、映画好きとしてはちょっと安心します❤
もっと映画のお話聞いてみたいなあ……。

2018/06/13

Brain Barとインタビュー (2018/6/13)

 5/31から6/2、ハンガリーのブダペストで行われたイベントBrain Bar 2018に、テッド・チャンさんがスピーカーとして参加なさいました。リンクを記録したいところはたくさんあるので、最後にまとめます。

Brain Bar
初めて聞いたので、調べてみました。

Brain Barは年一回ブダペストで開催されているイベントだそうで、未来について優れた考察をしているいろんな分野の著名人の講演と、音楽やダンスパフォーマンスなんかもあるイベントとのこと。Wikiの説明によると、テクノロジー会議と音楽イベントが融合したようなものらしいです。特徴的なのは一般参加者がスピーカーとディスカッションできる場にしているということ。双方向コミュニケーションのあるTED+オサレな文化祭、みたいなものかしら? と想像してます。

開催後に出たアフター・ビデオ。チャンさんもちらりと映ってます。なんかすごく楽しそう♪


じつは事前に「チケット情報」を目にしてはいたのですが、ぶっちゃけ自分には知ってもしょーがない情報なので(笑)、開催後にレポートとか出たら記録したいな❤、と身の丈の野望で待機しておりました。

チャンさんのトークのテーマは
"HERE COMES THE BOOGEYMAN What does Silicon Valley get wrong about AI?"
(『ブギーマンがやってきた:シリコンバレーはAIについて何を誤解しているか?』)

前回の記事でご紹介したBuzzFeedの投稿記事と通じたテーマみたいですね。

チャンさん以外のスピーカーはほとんどわからない人ばかりなんですが、びっくりしたのは「史上初めて市民権を与えられたロボット」として話題になったソフィアさんもスピーカーとして招聘されていたこと。なるほど最先端だわ…。彼女は最近不穏な発言で話題にもなってましたね……。記事は詳しく読んでないんですが、どういう文脈だったのかしら。(^^;)

ソフィアさんの動画は参加者さんがアップしたものがありました。珍しいのでついでに貼っておきます。



ツイッターでみつけた参加者さんのツイート。チャンさんは公式サイト等でも「ニュー・ミレニアムSFのロックスター」と紹介されてます。単に人気があるとか評価が高いとかいうことに加えて、あえてロックとは似ても似つかない領域で「クール」だというニュアンスを出すのによく使われてますね。「ロックスター」って。



他でチャンさんご夫妻を"Down to earth"(地に足がついている)と形容したツイートを見かけて、これも膝を打ちました。作家としてというより「ロックスター」としてのチャンさんに感じる魅力はまさにそこ。それを「クール」と感じる私たちは、たぶん「地に足のついた」知性に触れることにすごく飢えてるんでしょうね。(笑)

ふと感じたんですが、チャンさんからはアジア系という感じもアメリカ人という感じもあまり受けないです。レッテルが貼りにくいというか、「テッド・チャン」としか言いようがないというか。

…残念ながらトーク自体の記事や動画は見つけていないんですが、Youtubeに公式チャンネルがあって昨年のスピーカーのインタビューとか出ているので、少し待てば何か出るかもしれません。あと、ウェブ/紙の雑誌を出してるWIREDがスポンサーに入っていて、WIRED UKはサイトで事前の記事も載せてるので、こちらで何か出ないかと期待してます。日本語版WIREDにも出てくれるといいんですが、露骨にヨーロッパのイベントなので、日本人スピーカーでも登壇しなければ扱わないかもしれませんね。(じつは時々、面白そうな記事があると読んでた雑誌です。最近はちょっと起業家寄りの匂いが強まった印象があって、手を出す頻度が減りましたが……(^^;))

 

インタビュー

このイベントに関連したインタビューを見つけました。

チェックを入れた部分を以下に記録します。ただし元がハンガリー語なので、ブラウザのページ翻訳で英語にしてから読んだものです。ハンガリー語→日本語の翻訳はできませんでした。日本語化機械翻訳はできてもだいたい支離滅裂になるのですが、ヨーロッパ語→英語は言語構造の共通性のせいかそれほどひどくはないので……(この重訳ワザ(?)、じつは仕事で知りました。もちろん慣用句が直訳されたりへんちくりんなところは出ますが、そこだけ単語レベルで調べればおおかたは理解できます(^^))

というわけで、以下はその重訳(?)によるインタビューと紹介文からわかったこと、個人的に興味が湧いたところのメモです。(以前のインタビューの回答などと重複する内容もあります)重訳解釈な上に直訳にせずはしょったところもあるので、そのへんはご了承くださいませ。

タイトル(の機械による英訳)は
"Ted Chiang: The artificial intelligence does not want to steal jobs"
(テッド・チャン:AIは仕事を奪うことなど望まない)

・AIは仕事を(人間から)盗もうなんて考えない。問題は資本主義のほう。(このあたりは前回の投稿記事で同内容のことをおっしゃっているので、これだけにしときます)

以下はご自身について。

・来年短編を出版予定

・コンスタントにソーシャルメディアに露出することは、僕には向いていないと思う。むしろコンスタントなストレス源になるだろう。最近では、読者は作家の仕事の進行具合を知るにとどまらず、作家を人間としてより多く知ることを望む。そしてソーシャルメディアが作家の職業と私生活の境界を曖昧にしている。ソーシャルメディアで積極的に活動する作家たちは、そうすることでエネルギーを得ている。でも僕の場合は、そこから得られるメリットよりも、自分の性格がそれに向いていないことからくるデメリットのほうが大きいだろう。

・以前は(テクニカルライターとして)フルタイムで働いていたが、真剣に(フィクションを)書くならこれは変えなければいけないと悟り、フリーランサーになった。数カ月の契約が切れると自由になり、サイエンス・フィクションに集中している。

・(質問:「読者や出版社からnovel(長編小説)を望まれているというプレッシャーは感じないか?」)
ジャンルとしての長編小説は好きだし、読んでいるとくつろげる。でも僕はたいてい一つのアイデアを膨らませることに興味を持つ。一つのアイデアで書くには短編小説が理想的だ。長編小説はたった一つのアイデアで書くことはできない。いくつものアイデアと複雑に設定されたキャラクター群が必要だ。けれど僕の物語は、僕がやっているタイプの書き方のほうが向いている。 僕の本を出している出版社やエージェントはこの業界では稀なタイプで、これ(短編ばかりを書くこと)を受け入れてくれている。だから長編を書くことへの圧力は感じていない。

・(質問:「映画『メッセージ』の成功はあなたのキャリアにどう影響したか?」)
このBrain Barのようなイベントに呼んでもらったり、以前より多くの機会を得ている。今はテレビシリーズのBeauty Smoothing: Documentaryも進行中。ただしごく初期の段階。

・僕の書くものは、題材がなんであれ多分に哲学的な思考実験だ。

・白黒はっきりしたストーリーにはあまり興味がわかない。

・(質問:「あなたの作品は科学的・哲学的テーマと共に人間の運命にも焦点を合わせている。最初にアイデアとして浮かぶのはヒューマン・ドラマと科学的・哲学的問題のどちらなのか?」)
アイデアはいつも哲学的な側面に焦点を合わせている。

・多くの哲学的な問題は普通の人にとって身近ではない。でもそれを人間のドラマにすることで、取り組むに値するトピックとして表現することができると思う

 

*      *      *

 

リンク

Brain Bar関連

Wikipedia: Brain Bar https://en.wikipedia.org/wiki/Brain_Bar
公式サイト  http://brainbar.com/
公式フェイスブック  https://en-gb.facebook.com/brainbarofficial/
2018 公式フェイスブック https://www.facebook.com/events/1946978032223532/
Youtube公式チャンネル  https://www.youtube.com/channel/UCML3sc7SIGyOyHvVyR74M7g

念のため
WIRED(UK) http://www.wired.co.uk/
WIRED日本版 https://wired.jp/

2018/01/19

BuzzFeed寄稿記事と対談ビデオ

BuzzFeed寄稿記事

インタビューではなくご本人の寄稿記事です♪コミケ前の忙しい時期に見つけたもので遅くなりましたが、ようやくリンクを記録します。(バズフィードってあんまり読んだことがなくて、なんとなくもっと軽いというか、ネタっぽい記事専門のイメージを勝手に持ってました。こういう記事も載せるんですね)

BuzzFeed: Silicon Valley Is Turning Into Its Own Worst Fear

タイトルは直訳すると「シリコンバレー(の企業)は、それ自体が、彼ら自身のもっとも怖れるものになりつつある」。日本語にしにくいタイトルです。大雑把に意訳でまとめると、

「AIの暴走が怖れられているけれど、本当に恐ろしいのは(IT)企業の仁義なき資本主義の暴走。AIの脅威が取りざたされることで、そこから目をそらされているのでは? 企業はそこを直視して軌道修正していくべきだ」

という主張で、とても、とても共感しました。特に印象的だったところだけ拙訳置かせていただきます。

もちろん、企業はそれ自体で自律的に動いているわけではない。責任を負う人間たちは、おそらくは洞察力を持っている。しかし資本主義は、その洞察力の行使に利益で報いたりはしない。反対に資本主義は、 「良いこと」の意味を「市場が決めたものならなんでも」に置き換えることを要求し、人が本質を見通す力をせっせと蝕んでいる。

…と、ここまで書いて仕上げられずにいた間に、日本版サイトにも翻訳が掲載されました!全体訳されているのでぜひこちらを、ごゆっくりどうぞ。

BuzzFeedJapan: シリコンバレーが警告するAIの恐怖、その本質を「メッセージ」原作者が分析

 

対談ビデオ

もう一つはYoutubeで見つけたビデオ。上記の寄稿より前の11月に公開されていたようなんですが、見つけたのは最近です。ロバート・ライトさんというジャーナリスト/サイエンス・ライターとの対談で、ライトさんが主催者の一人になっているBloggingheads.TVというサイトのコンテンツです。

Free Will, and the Nature of Time | Robert Wright & Ted Chiang [The Wright Show]



テーマは『自由意志、そして時間の本質』。一時間半もあるので嬉しいですが、残念ながらまだ聴き取り難民なので(^^;)、自動生成の字幕に頼りつつ荒く目を通したところで、すべては理解できていません。

それで全体の要約はできないのですが、Youtubeの説明に目次(?)があるので拙訳を加えて貼らせていただきます。

01:33 How Ted's Story of Your Life became Arrival
    (『あなたの人生の物語』から『メッセージ』への経緯)
26:32 Experiential and theoretical grounds for determinism
    (決定論の経験的・理論的根拠)
33:58 If the future is set… Why bother?
    (もし未来が決まってるなら……何を気に病むことがある?)
54:02 The Predictor—an imagined device that will freak you out
    (プレディクター――あなたをパニくらせる架空の装置)
63:24 Wormholes and time travel
    (ワームホールと時間旅行)
84:27 Are free will and determinism compatible?
    (自由意志と決定論は両立するか?)

記憶に残ったところを少し。(記憶頼りなので、「こんな感じのことを言ってた」程度のメモと感想です)

◆『メッセージ』後も兼業のお仕事(プログラマー向けのコンテンツを書くテクニカルライター)は続けているとのこと。…そーかあ、生産ペースの向上は望めなそうですね。(笑) でも専業になるのがいい方に出るとは限らないし、この方もこれまでを見るとそういう(専業になってがしがし書きたいぜ!とゆー)タイプではない気がしますよね。でも経済的にも、活動ペースをコントロールするという意味でも、より大きな自由度を確保できるようになられたのでは、と想像しています。(そして勝手にうらやましがってます(笑))個人的にはこの方の「ものの考え方」「ものごとのとらえ方」「それを言語化するときのスタイル」自体が好きなので、今回の寄稿みたいなフィクション以外の、文化人的な(フィクション執筆より負担が軽そうな)ご活動でちょいちょい拝見できると嬉しいなーと思います。

◆『メッセージ』について――ルイーズの最後の選択は、それによって子供が病気に苦しむことになるので、倫理的な問題をはらんでいるのでは?というライトさんの指摘。なるほど、と思いました。回答は「その通り。小説では(子供の死因が違うので)そういう問題はないけど」。それもその通り。でも、映画版でそのへんは放置されていたわけではないですよね。たぶんルイーズとイアンが別れた理由がそこなんじゃないかな、と見ていて思いましたし。そして「そうなることがわかっている子供をあえて作るなんて」とイアンが怒ったとしても、その気持ちもわかる気がする。(これはライトさんの考え方に近いですね)でもそのへんは倫理として線を引くのは難しいと思いますし、ルイーズの気持ちもすごくわかります。(たとえば出生前診断で子供が病気を持っていることがわかったら?という問題ともつながってきますよね)

◆以前『Nature』に掲載された『What's expected of us』について。(ライトさんもそう言ってますが、Nature誌にフィクションが載るって珍しい印象がありますね)

これはプレディクター(predictor――「予告/予言装置」、とでもしたらいいでしょうか)という架空のデバイスをめぐる、自由意志についての思考実験のような短編です。プレディクターはボタンとライトがついた小さなおもちゃみたいな装置で、ボタンを押す一秒前にライトがつきます。なんとか機械を騙そうとしても絶対にできません。そしてこれにハマった人がどうなるのか――ストーリーというよりその過程の説明が読みどころですが、今回読み直してみたら、最後の一行(これは秘密)で鳥肌が立つほど……なんて言うんだろう。感動とも恐怖とも違うんですが、両方含まれているような…とにかく「ズキューン」とやられました。ハイ。『理解』の最後の一行にやられたのと似ているけれど、こちらの方が強力でした。しかもすごく短いのに!
(正直、前に読んだ時はぜんぜんそんなことなかったんですよね……むしろ自分のなかでは「チャン氏の作品では印象薄い一本」だったんですが、なんでかな。自分が変わったんでしょうか)

自由意志については、以前ウェブでのレクチャーでもテーマにしておられましたし(感想はこちら)、他でもよく言及してらっしゃる印象があります。かなり興味をお持ちなんでしょうね。

でも、人が「こうしよう」と意識する前に、そうするために筋肉を動かす信号はすでに脳から出ている、という研究結果が知られていて、この作品のプレディクターはその信号を拾ってるんだよね?と思った記憶があります。(作品の中ではそのからくりは言及されなくて、それによって人間が受ける影響のほうを「思考実験」しています。普通SF作品だとからくりの説明のほうに力を注ぎそうですが、そのへんもチャンさん節かな?)
ライトさんがまさにその点を指摘したところ、本人が意識しない場合も予告できるとのことでした。たとえば何かランダムにボタンを押す機械を作ったり、うっかりボタンを押した場合もそれを予告できる装置。この予告/予知は「逆方向のタイムラグ(Negative time lag)みたいなもの」だとおっしゃっています。本文でも"negative time delay"と表現されていますね。

【追記:ここまで邦訳が出てないと思い込んで書いてたんですが、今念のためにググったらSFマガジンのチャンさん特集号に『予期される未来』のタイトルで載っていたようで、しっかり自分でも感想書いてました!スミマセン!(^^;)
SFマガジン テッド・チャン特集 感想 (2007/11/24)
やはりその時はぜんぜん「来なかった」ようなんですが、何でかなあ?今回原文で読んだためでしょうか。もしかしたら、先ほどの「意識する前に出ている信号をキャッチしてるだけだよね?」と思ったことが大きいのかも。とにかく自分の記憶力のなさが実証されたのは確かです。失礼いたしました!m(_ _)m)】

*      *      *

全体に、ライトさんの視点のほうが問題を「命題」としてとらえていて、チャンさんのほうはすこし幅を持たせた「人間の問題」としてとらえている、という印象がありました。噛み合わないところもあったように見えましたが、どっちがいい、悪いではなく、「議論を深める」ってこういうことの積み重ねなのかも。

このキュートなおじさんロバート・ライトさんは、調べたところ『モラル・アニマル』など邦訳書もあり、ベストセラーも出したことがあるライターさんなのでした。(フィクションでない場合もよく「作家」と書かれますが、自分は作家と聞くとフィクション作家さんを思い浮かべてしまうのでライターさんとしておきます)この対談ビデオシリーズでは、メディテーション系の有名人ディーパック・チョプラさんなんかとも共演していて、仏教を扱った著書もあります。現代的な目線で哲学や倫理、心理学あたりを料理なさっているのかな…? ちょっと読んでみたいです。

TED(講演シリーズの)にも登場歴があったので一本見てみたんですが、ちょっとシニカルでとぼけたユーモアのある語り口です。ビデオでは、にこやかなチャンさんとは対照的にふてくされているように(笑)見えますが、そういう芸風の人みたい。『メッセージ』で言及された「ノン・ゼロサム・ゲーム」がテーマと思われる『Nonzero: The Logic of Human Destiny』という本も書いてらっしゃるので、読んでみたいです。邦訳出てくれないかなっ♪

会話の中に出てきた「両立主義」(Compatibilism)という、初めて聞いた言葉に興味が湧きました。調べたら「決定論と自由意志は両立する」という考え方のことだそうで。チャンさんの作品では繰り返しテーマになっているなあと。他にも初めて聞く言葉とか名前とか出てくるので、少しずつ攻略しようと思います。(正確なトランスクリプトがあると楽なんですけど。自動生成の字幕はけっこうアレなので…(^^;)まあ速度を変えて聞いたりしながら、推理して埋めていこうと思います。いい勉強になりそうです(笑))