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2023/07/26

ヴァニティフェアインタビューと学会講演

 (取り急ぎ後半のイベントの話題をアップしたいので、インタビューの引用訳は充分に推敲できておりません。何卒ご容赦ください。<(_ _)>)

・ヴァニティフェアインタビュー

“We Have Built a Giant Treadmill That We Can’t Get Off”: Sci-Fi Prophet Ted Chiang on How to Best Think About AI

 

先日のThe New Yorkerへの寄稿記事が「バズった」らしく、その「話題の人」にインタビュー、という文脈でした。ただ、質問がちょっと失礼に見えたり(「どうやって『The New Yorker』との関係ができたんですか?」)、気取った言い回し(ラテン語とか)が鼻についたり…ごめんなさい、正直敬意が感じられないところがありました。よくチャンさんは文学のメインストリームとSFコミュニティとの乖離について触れますが、老舗の大手雑誌と「たかがSF作家」(話題になった記事を書いたとはいえ)、みたいな構図があるのかしらん、なんて思ったり。 (いや、たぶん私の英語読解力が至らないのでしょう(^^;))

とにかく個人的にはそんな印象だったので、「マーク・アンドリーセン(テック界の大物さん)のAIについての投稿をチェックしているかどうか、興味があるんですが」に対して 「読んでいません。彼の意見に興味津々、とは言えないかな」「『ブラックミラー』の新シリーズは見るつもりですか?」には「レビューが良ければ」…と、いつものテッちゃん節でキッパリ答えてらっしゃるのはちょっと痛快(?)でした。

「自分は新しもの好きだと思いますか?」に対しての答えにはなんだか親近感が湧きました。
「ほとんどのものついては違うと思います。そうするためには、絶えず新しいユーザーインターフェースに慣れる努力が必要な気がするので。テクノロジーに何が起こっているかを見ることには興味がありますが、日々の仕事の範疇では、現行のものに問題がない限り新しいものは求めていません。今のWordより、ずっと古いバージョンを今でも使えたらいいのに、と思いますよ」
…いやまさに!自分も今のWordには不満タラタラなので、思わず我が意を得たりと膝を打ちました!(とクリシェ表現の連続☆)

些末なところばかり拾ってしまいましたが、前記事での「AIと資本主義」の延長で、テック業界の人が「新しいものは良い」という認識から自由になるのが難しいことなど、より掘り下げたお話も読めました。

「こういう格言があります。『愚か者には二種類ある。一つ目は「これは古いものだから良い」と言い、二つ目は「これは新しいからもっと良い」と言う』(…)今私たちは、誰もが「これは新しいからもっと良い」と言う時代に生きています。こう言う人々がいつでも正しいとは思いません。けれど、彼らを批判し、新しい何かがより良いわけではないと示すのはとても難しい。(…)なぜなら、私たちが生きている時代は、多くの人が経済的なインセンティブによって、「新しいものなら、それは(以前より)良いものだ」と私たちに信じ込ませようとする時代でもあるからです。 アプトン・シンクレアの引用ですが、こんな言葉があります。「自分の給料が『何か』に依存していることを理解していない人に、その『何か』を理解させるのは難しい」。製品を売る企業、そこで働く人々、彼らはまったく誠実なのかもしれない。必ずしも悪意があるわけではない。彼らにはただ、それら(自分たちの作っているもの)は良いものだと信じる、ある種の動機づけがあるのです」

「私たちは降りることができないランニングマシンを作ってしまったのです。たぶん。おそらくそこから降りることは可能でしょう。しかしそのためには、私たち全員が自分たちで作ったランニングマシンに乗っていることを理解したうえで、全員が降りることに同意する必要があります」

 

インタビュアーさんの名誉のために書き添えますと、具体的にチャンさんの作品に触れて質問がされていたので、過去の作品をきちんと予習されているのがわかりました。映画やドラマへの親和性が高いインタビュアーさんのように感じましたが、『メッセージ(Arrival)』の原作者、という意識はあまりなかったのかな……。ま、今回のテーマから外れてしまいますね。

重要な質問が最後に。「AIの現状について書いたのは、将来の短編のための準備の一環ですか?」との質問には"No, no."と答えていらっしゃいました。

 

 

・学会講演

ALIFE 2023 特別公開講演 「生命と意識、人工と自然」 テッド・チャン(SF作家)× アニル・セス(神経科学者)

「札幌で開催される国際人工生命学会 (ALIFE) 2023年度大会の基調講演者である、テッド・チャンとアニル・セスが一般に向け」て行う講演だそうで、誰でも登録すれば無料でオンライン視聴できるとのことです。

2023年7月28日(金)15:50-16:50 (日本時間) オンライン視聴(ZOOM)

開催地が日本のイベントです!(学会だろこら(笑)) リモート参加だとは思いますが嬉しい! こんな辺境サイトに書いても見る方いらっしゃらないかもしれませんが、Twitterで公式さんが宣伝しているので、多くのファンの方が視聴できますように!

で、早速登録させていただいたのですが、運悪くその日の午後は予定が入っているので、移動中にチラ見出来れば御の字です。(泣) この手の配信は登録するとあとから録画を見られる…というのが多いので、見られないかなー…と思っていたら、同じことをTwitterで質問した方がいらして、先ほど、「講演はライブ配信のみ」とのご回答を確認しました。ああ、残念。どなたかリポート/トランスクリプト上げてくださらないでしょうかねぇ。公式さんでそんなんがあるとありがたいのですが。(もしくは事後にYoutubeで公開とか…)

まあ、普通に考えて平日の昼間に視聴できる人は多くなさそうなので、あまり外に向けたものではないのかもしれません。でもすごく興味深いテーマですね。(あ、夏休みだから学生さん向けということなら別ですが…そもそも学会ですし、もしかして「誰でも視聴可」なのは学生さん勧誘の意味があるのかな? だとしたら外野から見せていただけるのはめちゃくちゃラッキー☆ チャンさんを追っかけてるといろいろ勉強になって楽しい♪)

一緒に講演なさるアニル・セスさんが、こんなツイートをしていらっしゃいました。Nice♥


 

 

その他のイベント

そのほか、先週末はサンタフェでのイベントにも参加なさったようです。

The Complex Self - SFI x SITE Panel Discussion

こちらのツイートで知りました。こちらも写真を見る限りリモートでの参加のようです。テーマが面白そうですねえ…。

(引っ越し時追記:元ツイートを探してみましたが、削除されているようです)

公式ページの最後に、後ほど録画が公開されると書いてあるので期待して待とうと思います。

ああ、こういうイベントが多くなってくると夏ですねえ。コミケに出なくとも(笑)「夏休み!」って感じがします!

 

2023/07/01

ポッドキャストとインタビュー

 最近出たポッドキャストとインタビューを見つけました。矢継ぎ早な露出は嬉しいけれど、私事が立て込んでる上にノロマなので記録が追いつかず、すでに最初のを見つけてから一カ月経ってしまいました……(^^;)。取り急ぎリンクだけ記録します(日本語タイトル等はとりあえず直訳で。一部感想つき)。ついでで見つけた過去のインタビューも、以前記録したか覚えていないので追加しておきます。

 

・ポッドキャスト
「子供を育てるようにAIを開発する」 (CASBS ポッドキャスト61・ 2023/6/1 ) 

Developing AI Like Raising Kids - Alison Gopnik & Ted Chiang (CASBS Podcast 61)

リスニング難民なので(^^;)詳細まではわかりませんが、予想されるように、"The Lifecycle of Software Objects"と絡めてAI開発について…という趣向のようです。番組自体は3分過ぎ頃から、チャンさんの発言は7分過ぎ頃から。

 

・インタビュー
SF作家テッド・チャン:「現在我々が持つマシンは意識を持っていない」 (フィナンシャル・タイムズ)

Sci-fi writer Ted Chiang: ‘The machines we have now are not conscious’(Financial Times)

今度はフィナンシャル・タイムズですか!とそこで驚いちゃいました。私でも名前は知っている(笑)くらい有名な経済紙ですね。

それはさておき、中で(ご自身の言葉でなく)Twitterで見かけたというやりとりを紹介なさっていて、これにすごく共感しました。「AIって何?」というのに対し、「1954年にやらかしたまずい言葉選び」で、このせいで混乱していると。で、混乱しないように名前を付けなおすとしたら「応用統計学」だと。たしかにArtificial Intelligence(人工知能)という言葉のせいで、「意識を持つのか」とかいう方向に想像が行きがちですよね。そう聞くと、どうしても『2001年宇宙の旅』のHALみたいなものを想像してしまう。今の「AI」はそれとは別物ですね。

読んでいて、日本の女性の研究者さんの発言を思い出しました。(お名前を失念してしまいました。そのあと朝日新聞にも寄稿なさっていて切り抜こうとしたのに……)BS TBSの『報道1930』で、AIについて先走った想像を投げかけられて、苦笑しながら「プログラムですから……」とおっしゃっていたのです。すごく共感しました。(素人なのに共感というのはおこがましいかも。「安心」ですかね)

機械が内部にあるデータを再構築して表示してるだけ、というのがChatGPTを使ってみた実感でもあります。「学習」とか「~に聞く(質問する)」とか、擬人化して話しているのは人間の側で、こういう見立てを面白がる気持ちは自分にももちろんあるんですが、実際にやってみると、個人的には(ChatGPTを人間扱いして質問を「会話として演じながら」入力するのは)ちょっと気持ち悪く感じました。自分でも意外です。これについては書きたいことがたまっているので、自分のブログかなんかで書きたいです。

インタビュアーさんがランチの約束を取り付ける所の回答で、「AIについては喜んで話します。私生活については話しません。それで良ければ」とおっしゃったそう。もしかしたら"The Lifecycle..."が子育てをメタファーにしているので、実際には?みたいな質問を受けがちでうんざりしていらっしゃるのかも?などと一瞬邪推しました。お子さんはいないんですよね。やはり想像力・表現力と実生活で何をしてるかはまったく別の問題ですね。よく言うじゃないですか。下戸の俳優さんのほうが酔っぱらった芝居がうまいって。(そいえばチャンさんも下戸でしたよね確か[関係ない☆(笑)])

 

・インタビュー
前提を検証する:2020 PNBA受賞者テッド・チャンとの一問一答

Examining Assumptions: A Q & A with 2020 PNBA Award Winner Ted Chiang(NW Book Lovers)

2020年のインタビュー。